求人を出そうとして、「女性歓迎」「35歳くらいまで」「若い人が多い元気な職場」と書きかけて、ふと不安になる。調べてみると、年齢や性別に触れる表現は原則NGだと分かる。そこで言葉を削って出し直す。すると今度は、求人がのっぺりして、何を伝えたいのか分からなくなる——。
自分で採用をやっている中小企業の社長や店長から、この流れの相談をよく受けます。「NGワード一覧」はネットに山ほどあって、どれも間違ってはいません。ただ、ほとんどが「この言葉はダメ、こう言い換える」の対応表で終わっている。実際に困るのはその先です。NGワードには、たいてい「本当に伝えたかったこと」が隠れている。「若い人が多い」と書きたかったのは、年齢を絞りたかったからではなく、「年上ばかりの職場で浮かないか」という不安を消したかったから。「体力に自信のある方」と書きたかったのは、入ってから「こんなに重いとは聞いてない」と辞められたくなかったから。言葉だけ消すと、その意図ごと消えて、応募する側にとって判断材料の少ない求人になります。
この記事では、まず「書いてはいけない表現」を厚生労働省の一次資料とIndeedの掲載基準に沿って整理します。そのうえで本題として、NGワードで伝えようとしていた意図を、法令に触れない「業務の事実」に翻訳する手順を、記入例つきで説明します。言い換え表を覚える話ではなく、自分の求人を今日開いて、削ったあとに何を足すかを決める話です。
先に整理:「書いてはいけない」には3つの層がある
NGワードと一口に言っても、実は性質の違うものが混ざっています。切り分けておかないと、「これも危ないのでは」と必要以上に削ったり、逆に本当に違法な表現を軽く見たりします。層は3つです。
1層目は、法律で禁止されているもの。年齢と性別が代表で、根拠となる法律がはっきりあります。年齢は労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)第9条、性別は男女雇用機会均等法第5条(募集・採用の差別禁止)と第7条(間接差別)です。国籍や出身地を理由にした制限も、職業安定法の趣旨から認められません。
2層目は、法律とは別に、媒体の掲載基準で落ちるもの。たとえばIndeedは、採用企業向けの掲載基準の解説で、「業務の能力と関係ない理由で応募が制限される求人情報は掲載されません」として、国籍・性別・年齢の制限を記載するケースを例に挙げています。法律に触れる表現は当然ここでも落ちますが、媒体はそれより手前で審査するので、「たぶん大丈夫」のグレーな表現は掲載されない側に倒れると考えておいたほうが安全です。
3層目は、違法ではないが、応募を減らすもの。「アットホーム」「やる気のある方」「明るい方」のような、意味が伝わらない言葉です。これは法令の問題ではなく、求人の中身の問題。NGワード一覧に混ぜて書かれることが多いのですが、対処の仕方が違うので、この記事では最後に短く触れるだけにします。
この記事の中心は1層目と2層目、つまり「出せない・落ちる」表現と、その消したあとです。
年齢:原則は「不問」。歓迎・目安・写真にも注意がある
法律が禁じていること
厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」によれば、事業主は募集・採用において年齢を理由とした制限を設けることが禁止されています(平成19年10月から義務化)。求人票に「年齢不問」と書きながら、実際には年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を基準に採否を判断したりすることも同様に違反です。つまり、書き方の問題ではなく、年齢で選ぶこと自体が禁止されているというのが出発点です。
「35歳以下」「40歳未満の方」のような上限はもちろん、生年月日で区切る書き方(「平成◯年4月2日以降に生まれた方」)も実質的な年齢制限として原則違法とされています(厚労省 年齢制限禁止Q&A・令和7年4月1日現在 Q1-7)。「◯歳位」「◯歳前後」と幅を持たせる表現も、求職者に誤解を招くとして「法の趣旨に照らし適当ではない」とされています(同Q1-5)。
「歓迎」は逃げ道にならない
現場でいちばん多い誤解がこれです。「年齢不問」と書いたうえで「35歳未満の方歓迎」と添えれば大丈夫、という考え方。厚労省のQ&Aは、これについて「35歳未満の方を他の年齢層に比べて優遇するものであり、実質的に年齢制限を行っていることと同じ」として、法の趣旨に照らし適当ではないと明確に答えています(同Q1-2)。「40歳以上歓迎マーク」のような印も、原則として適当でないとされています(同Q1-3)。
一方で、同じ「歓迎」でも扱いが違うものがあります。「学生歓迎」は年齢制限に当たりません。「60歳以上の方歓迎」は、例外事由(3号のニ・60歳以上の高年齢者の募集)に合致するので違法になりません(同Q1-2、Q1-3)。つまり「歓迎」という言葉が問題なのではなく、その歓迎が、法で認められた例外に当たるかどうかで決まる、ということです。
例外は6つ。中小企業で実際に使えるのは、ほぼ2つ
年齢制限が例外的に認められる事由は、同法の施行規則で限定的に定められています。1号(定年年齢を上限とする無期契約)、2号(法令で年齢制限がある業務)、3号イ(長期勤続によるキャリア形成のための若年者募集)、3号ロ(技能継承のための特定年齢層)、3号ハ(芸術・芸能の表現の真実性)、3号ニ(60歳以上、または国の施策の対象者)です。
このうち中小企業が日常的に使う場面があるのは、1号(定年)と3号イ(若手育成)です。1号は、定年を定めている会社が無期雇用で募集するとき、定年年齢を上限として書けるというもので、むしろ定年があるなら記載が必要とされています(同Q2-1)。
3号イは、よく「35歳未満なら書ける」と単純化されますが、条件がついています。厚労省のQ&Aによると、①期間の定めのない労働契約であること(有期契約を更新し続ける場合は該当しない・Q4-5)、②職業経験を問わないこと(「経験者優遇」「経験があれば尚よい」も書けない・Q4-6)、③新規学卒者と同等の処遇であること(Q4-2)が要件です。上限年齢は基本的に35歳未満を想定しており、それより低い「30歳未満」「25歳未満」は若者の応募機会の観点から広く応募できるよう努めることが求められます(Q4-3)。
現場での目安をひとつ。「経験者がほしい」なら3号イは使えません。経験者募集で年齢を絞ろうとするのは、ほぼ確実に例外に当たらない。ここで無理に年齢を書くより、後述する「意図の翻訳」に進んだほうが早いです。
「うちの会社の事実」は書ける。ただし、誤解を生まない努力が要る
「スタッフ全員が20代」「20代が主役の会社」のように、会社の現状を表すキャッチコピーやスタッフ写真はどうか。Q&Aは、会社に関する事実を表示することは「直接には年齢制限に当たりません」としたうえで、「スタッフが20代でなければならない」「20代を優先して募集している」といった誤解を求職者に生じさせるおそれがないよう努める必要がある、としています(同Q1-1)。
これは実務上かなり大事な線です。年齢構成という事実は書いてよい。書いてはいけないのは、それを応募資格や優先順位に見せること。「20代が主役の会社」は事実の表示に見えて、他の年齢層に「自分は主役ではない」と読ませる書き方なので、避けたほうがよい部類です。あとで具体例を出します。
「体力が要るから年齢で絞る」は、認められない
「加齢で体力が落ちるのは事実だし、労災のリスクもあるのだから、体力が要る仕事は年齢制限を認めるべきでは」という問いに、厚労省は、加齢による体力低下は個人差が大きく、年齢で一律に制限することは適切でないと答えています。そのうえで「むしろ求人において業務の具体的内容と必要な身体能力等を明示することが重要」としています(同Q1-25)。
この一文が、この記事の後半の根拠です。年齢で絞れないなら、何をどれだけ持ち上げる仕事なのかを書く。それが、求職者にとっても会社にとっても、年齢より正確な判断材料になります。
性別:限定・優先・条件差に加えて、「職種名」と「写真」にも線がある
禁止されているのは5つの行為
厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」は、募集・採用で性別を理由とする差別として、次の5つを違法としています。①募集・採用の対象から男女のいずれかを排除すること、②募集・採用の条件を男女で異なるものとすること、③選考の方法や基準を男女で異なる取扱いとすること、④募集・採用に当たって男女のいずれかを優先すること、⑤求人内容の説明など情報提供について男女で異なる取扱いをすること。
違法事例として挙げられているのは、「女性経理職員が退職したため、後任に女性を募集する」「事務職に女性のみ、営業職に男性のみを採用する」「女性に対してのみ未婚であること、子どもがいないこと、自宅通勤などの条件を付ける」など。中小企業でも起こりがちな場面ばかりです。
「営業マン」「ウエイター」は、それだけで違法事例に入る
同じ資料は、募集要項や求人情報について、「男女のいずれかを表す名称で募集職種を表示したり、男女のいずれかを優遇しているような表現」を違法事例に挙げ、「ウエイター」「◯◯レディ」「男性歓迎」「女性向きの職種」を例示しています。さらに、「男女のいずれかを採用する方針で、写真やイラストにおいて、一方の性に偏った職場を強調する等の表現をすること」も同じ扱いです。
つまり文章を直しても、写真が女性ばかり・男性ばかりで、しかもそれが「その性を採りたい」という方針の表れなら、同じ問題が残ります。Indeedの法令編の解説も、「女性歓迎」「男性限定」に加えて「主婦の方積極採用中」や、性別を示す職種名(「ウエイター」「ウエイトレス」「営業マン」)を掲載できない例に挙げ、「ホールスタッフ」「営業スタッフ」への置き換えを勧めています。
「主婦歓迎」は、性別の限定になる
パート募集で定番の「主婦歓迎」は、字面のとおり女性を想定した表現なので、性別の優遇に当たります。Indeedの掲載基準のOK例では「主婦(夫)歓迎」の形が示されています。ただ、ここでも大事なのは言葉の置き換えより、「主婦歓迎」で伝えたかった中身のほうです。たいていは「昼の時間帯だけ働ける」「子どもの都合で急に休んでも回る」を言いたかったはず。それは性別と関係なく書ける事実です(後述)。
身長・体重・体力と、全国転勤は「間接差別」
均等法第7条は、業務上の必要性など合理的な理由がない場合に、募集・採用で身長・体重・体力を要件とすること、転居を伴う転勤に応じることを要件とすることを間接差別として禁止しています。資料の違法事例には「荷物を運搬する業務で、すでに設備や機械が導入されていて日常業務では筋力が必要ないのに、一定以上の筋力を要件とする」「広域に展開する支店もその計画もないのに、全国転勤に応じられることを要件とする」が挙がっています。
裏返すと、本当にその業務で必要なら書ける。ただし「体力に自信のある方」という抽象的な要件ではなく、必要性が説明できる形——「20kgの米袋を1日30回ほど運びます」のような業務の事実——で書くことになります。年齢のところで見た「業務の具体的内容と必要な身体能力を明示する」と、同じ方向です。
例外:一方の性でなければ成り立たない職務と、ポジティブ・アクション
性別で異なる取扱いが法違反にならないのは、芸術・芸能での表現の真実性、防犯上の要請がある守衛・警備員、労基法で女性の就業が制限されている業務、風紀上・宗教上等で同程度の必要性がある職務などに限られます。資料は「単に、一方の性に適していると考えられているだけでは該当しません」と念を押しています。
もうひとつ、女性労働者の割合が4割を下回っている雇用管理区分で、過去の慣行による格差を改善する目的で女性を優遇する措置(ポジティブ・アクション)は法違反になりません。ただし「単に女性を優先したい」という意図では違法になる、と明記されています。中小企業で使うなら、労働局雇用環境・均等部(室)に確認してからが無難です。
本題:NGワードを消したあと、何を書くか——「意図の翻訳」4パターン
ここからが、一覧記事に書かれていない部分です。NGワードを消した求人が薄くなるのは、その言葉が担っていた「意図」を代わりに誰も語らなくなるからです。やることは、意図を、性別・年齢と関係のない「業務の事実」「職場の事実」「時間の事実」に翻訳すること。現場で多い4つの型で説明します。
型1「若い人が多い元気な職場」→ 年齢構成の事実と、教える人
伝えたかったのは「年上ばかりで浮かないか」という不安の解消、あるいは「体育会系のノリについていけるか」の事前説明です。年齢制限に見えない書き方は、構成を数字の事実で書き、年齢を資格や優先に見せないこと。厚労省Q&AのQ1-1にあったとおり、会社の事実は書けます。
Before(※記入例)
20代が主役の元気な職場です!若手歓迎!After(※記入例)
現場スタッフは8名で、20代が4名、30代が2名、40代以上が2名。直近で入ったのは昨年の28歳・未経験の方で、いまはその人が新しい人を教える側です。年齢に関係なく募集しています。
ポイントは3つ。数字で書く(「主役」「中心」のような優先に読める言葉を使わない)、直近入社の1人を具体的に書く(年齢層の幅と「未経験でも入れた」を同時に伝える)、最後に「年齢に関係なく募集」と添える(誤解を生まない努力を形にする)。
「元気な」「ノリがいい」を書きたい場合は、行動の事実に置き換えます。「朝礼で全員が一言ずつ話す」「月1回、営業後に店で食事会(参加自由)」のように。合う人には魅力に、合わない人には辞退の材料になる。それでいいのです。
型2「体力に自信のある方」「男性活躍中」→ 重さ・回数・動作・道具
伝えたかったのは「入ってから“こんなに重いとは”と辞められたくない」。これは年齢・性別のどちらでも絞れません。書くのは重さ・回数・動作・使う道具の4点です。Indeedの法令編も「重い荷物の持ち運び(約10kg程度)が発生」のような具体化を勧めています。
Before(※記入例)
体力に自信のある方歓迎。男性スタッフ活躍中。After(※記入例)
1ケース約12kgの飲料を、トラックから店の倉庫まで1日40〜60ケース運びます(台車あり。階段は無し)。夏場は屋外作業が続くため、休憩は1時間ごとに10分取っています。
これで、体力の心配がある人は自分で判断できますし、「男性」と書かなくても業務の実態は伝わります。さらに、間接差別の観点でも安全側です。「一定以上の筋力」を要件にしているのではなく、業務の事実を書いているだけだからです。
なお、ここで「男性活躍中」の代わりに「男女とも活躍中」と書く言い換えをよく見ますが、それは意図の翻訳ではなく、言葉の中和です。書いても損はありませんが、応募の判断材料にはなりません。
型3「主婦歓迎」「ママさん活躍中」→ 時間帯・急な休み・扶養の扱い
伝えたかったのは「昼だけ・短時間で働ける」「子どもの都合に対応できる」。書くのは時間の事実です。性別に一切触れず、必要な人にはちゃんと届きます。
Before(※記入例)
主婦歓迎!ママさん多数活躍中!家庭と両立できます。After(※記入例)
勤務は9:30〜14:30の間で1日4時間〜、週3日から。シフトは月2回、前月20日までに希望を出す形です。お子さんの発熱など当日の休みは、朝8時までにLINEで連絡があれば店長が調整します(実際に月2〜3回はあります)。扶養内での勤務も相談できます。
「家庭と両立できます」は約束ですが、中身がありません。「当日の休みの連絡先と締切」「実際に月に何回くらい起きているか」「シフトの出し方」を書いた瞬間に、両立できるかどうかを読む側が自分で判断できます。もし「主婦(夫)歓迎」を残したいなら、必ず(夫)を入れる。ただ、上の書き方ができていれば、その一言は無くても届きます。
型4「若手募集」「経験者は年齢優遇」→ 3号イの要件を満たすか、給与の決まり方を書くか
「若手がほしい」には2種類あります。ひとつは「長く働いてもらって育てたい」。これは3号イの要件(無期雇用・経験不問・新卒同等の処遇)に本当に当てはまるなら、「35歳未満(長期勤続によるキャリア形成のため)」と理由を明記して書けます。ハローワークに出す場合は例外事由の該当を示す必要があり、求人媒体でも同様の表記を求められることがあります。
もうひとつは「経験者で、しかも若い人がほしい」。これは例外に当たりません。伝えたかった中身をほどくと、「即戦力で、給与をあまり上げずに済む人」だったりします。それを年齢で表すのは違法で、そもそも求職者には何も伝わらない。書くべきは給与の決まり方です。
Before(※記入例)
経験者優遇。若手歓迎(35歳くらいまで)。After(※記入例)
月給24万〜32万円。同業で3年以上の経験がある方は27万円から、未経験の方は24万円からスタートし、担当できる工程が増えるごとに見直します(直近の例:入社1年で2万円アップ)。年齢は問いません。
年齢で絞る代わりに、経験と給与の対応を書く。応募する側は「自分ならいくらか」を計算できるので、年齢を書いていた頃より応募の質が揃います。
公開前の5分チェック:削る言葉と、足す事実をセットで見る
求人を出す前に、次の手順で見直してください。ポイントは、削るだけで終わらせず、削った箇所ごとに「代わりに足す事実」を1つ決めることです。
1. 職種名を見る。「マン」「レディ」「ウエイター/ウエイトレス」「〜さん(主婦・ママ)」が入っていないか。→「営業スタッフ」「ホールスタッフ」に。 2. 応募資格欄を見る。年齢の数字、生年月日、「◯歳位」、「若手」「シニア」「主婦」の語が入っていないか。定年を書く場合は「定年60歳のため」など理由を添える。3号イを使う場合は要件3つ(無期・経験不問・新卒同等)を自分で確認し、理由を明記する。 3. 「歓迎」「活躍中」の語を全部拾う。年齢・性別の属性に付いているものは消し、代わりに「誰が・どんな条件で」の事実に翻訳する(型1〜4)。「学生歓迎」「60歳以上歓迎」は残してよい。 4. 身体の条件を見る。「体力に自信」「身長◯cm以上」があれば、重さ・回数・動作・道具に置き換える。 5. 写真を見る。一方の性ばかり・特定の年齢層ばかりになっていないか。方針として一方の性を採りたいという意図がなければ違法ではありませんが、複数枚あるなら実際の職場に近い構成にしておくと、誤解も防げます。
これに加えて、2024年4月から、募集時に明示すべき労働条件に「業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期契約の更新上限」が追加されています(厚生労働省リーフレット)。NGワードを消す作業と、必要事項が足りているかの確認は、同じ5分の中で一緒に済ませると効率的です。
やりがちなNG(表現そのものではなく、直し方の失敗)
- 言い換え表どおりに置き換えて、それで終わる。「女性歓迎」→「男女歓迎」、「若手歓迎」→「年齢不問」。違法ではなくなりますが、応募の判断材料はゼロのまま。意図を翻訳して初めて、消した分を取り戻せます。 - 「年齢不問」と書いたのに、面接で年齢を理由に落とす。書き方だけ整えても、選考で年齢を基準にすれば違反です。年齢で選びたくなるときは、たいてい「体力」「給与」「定着」のどれかが本当の理由なので、その本当の理由を求人に書いて、応募前に自己判断してもらうほうが結果的に楽です。 - 「歓迎」を安全な言葉だと思っている。属性に付く歓迎は、優遇=実質的な制限として扱われます。 - 文章は直したのに、写真がそのまま。均等法の資料は写真・イラストでの一方の性の強調を違法事例に挙げています。 - 媒体の審査に落ちて初めて気づく。Indeedのように掲載前に基準で弾く媒体では、グレーはまず落ちます。落ちてから直すより、出す前に5分チェックのほうが早い。 - 「アットホーム」「明るい方」を法令NGと同列に扱って、ただ削る。これは3層目で、違法ではありません。削るのではなく、「昼はスタッフ全員で店の賄いを食べる」のように事実に置き換える対象です。
自分の求人は、どこでつまずくのか
NGワードの見直しは、求人を「出せる状態」にする作業です。ただ、出せる状態になっても、表示されない・クリックされない・応募されない、のどこかで止まっていることは珍しくありません。年齢や性別の言葉を消して薄くなった求人は、とくに「クリックはされるのに応募されない」型に入りやすい。
よくある質問(FAQ)
Q. 「年齢不問」と書いたうえで「20代活躍中」と添えるのは大丈夫ですか? A. 「20代が活躍中」のような会社の事実の表示は、厚労省Q&Aでは「直接には年齢制限に当たらない」とされています。ただし、20代を優先して募集していると誤解されないよう努める必要があるとも書かれています。「活躍中」は優先に読まれやすい語なので、「スタッフ8名のうち20代が4名、40代以上が2名」のように構成を数字で書き、「年齢に関係なく募集しています」と添えるほうが安全です。
Q. 定年が60歳の会社です。求人に「60歳未満」と書けますか? A. 書けます。定年を定めている会社が無期雇用で募集する場合、定年年齢を上限とする年齢制限は例外事由(1号)に当たり、むしろ定年年齢を記載することが必要とされています。その際、定年による制限であることを示す必要があります(ハローワークでは求人申込書に明記)。有期契約の募集には使えません。
Q. 「主婦(夫)歓迎」と書けば問題ありませんか? A. 「主婦歓迎」のままだと性別を想定した優遇に当たるので、(夫)を入れる形が媒体でも示されています。ただ、それで伝わるのは「歓迎している」という姿勢だけです。伝えたい中身は「短時間・昼だけ・急な休みに対応できる」のはずなので、勤務時間帯・シフトの出し方・当日休みの連絡方法を事実として書くほうが、必要な人に届きます。
Q. 重い物を運ぶ仕事です。「体力に自信のある方」と書いてはいけないのですか? A. 業務に本当に必要なら、身体的な要件を書くこと自体は違法ではありません。ただし「体力に自信」のような抽象的な要件は、合理的理由の説明ができず、間接差別の観点でも危うい表現です。厚労省も「業務の具体的内容と必要な身体能力等を明示すること」を勧めています。「約12kgのケースを1日40〜60個、台車あり・階段なし」のように、重さ・回数・動作・道具で書いてください。
Q. 求人媒体の審査で「年齢・性別の表現」を理由に落ちました。何を直せばいいですか? A. まず職種名(「営業マン」「ウエイトレス」等)、応募資格欄の年齢の数字・「若手」「主婦」の語、「◯◯歓迎」「◯◯活躍中」の属性語、身体条件の抽象表現、写真の偏り、の5か所を順に見てください。直すときは言葉を消すだけでなく、その言葉で伝えたかった意図を「年齢構成の数字」「重さ・回数」「時間帯・休みの連絡方法」「給与の決まり方」のどれかに翻訳して書き足すと、審査に通るだけでなく応募の判断材料が戻ります。
この記事は、中小企業の採用運用を支援する SaishiLu(運営:株式会社プラスメイト)が作成しています。求人原稿・媒体運用の現場でよく見る観点をまとめました。法令の記述は出典先(厚生労働省の公表資料)に基づきますが、個別の求人が例外事由に当たるかどうかは事案ごとの判断になるため、迷う場合は都道府県労働局にご確認ください。記入例の人数・金額・時間はすべて架空です。