「求人を差別化しろと言われても、うちには大手みたいな福利厚生も知名度もない」。採用を自分でやっている経営者の方から、よく聞く言葉です。求人媒体の営業からも、採用の本からも「差別化が大事」とは言われる。でも、何をどうすれば差別化になるのかは、誰も具体的に教えてくれない。
ここでまずやってしまいがちなのが、「うちの魅力を考える」ことから始めてしまうことです。社内で「うちの強みは何だろう」と話し合い、「アットホーム」「風通しがいい」「成長できる」「地域密着」といった言葉が出てきて、それを求人票の冒頭に並べる。気持ちは分かるのですが、これはほとんど差になりません。理由は簡単で、同じ検索結果に並んでいる他の会社も、まったく同じ言葉を書いているからです。
差別化とは、魅力を盛ることではありません。求職者が並べて見たときに、うちだけが書いている事実があることです。派手な制度は要りません。この記事では、求職者と同じ画面で自分の求人が「何と並んでいるか」を30分で棚卸しし、「全員同じ」「数字で負けている」「誰も書いていない」の3つに分けて、うちだけの1行を最初の3行に置くまでの手順を、記入例つきで説明します。今日、自分の求人を開いて直せる話です。
まず、求職者は「1社」ではなく「並び」で見ている
差別化を考える前に、求職者の側から自分の求人がどう見えているかを押さえておきます。
マイナビの「転職活動実態調査(2025年)」(2024年7月〜2025年6月に転職活動をして転職した正社員500人)によると、平均の応募社数は13.6件、20代では男性18.2件・女性20.1件でした(出典:マイナビ転職「転職活動の平均応募社数は?」)。応募した数がこれですから、応募する前に見た求人の数はもっと多い。求職者は、あなたの求人を単体で読んでいるのではなく、同じ職種・同じ地域の求人を十数件、ときには数十件、スマホでスクロールしながら並べて見ています。
並べて見ているとき、1件1件を丁寧に読んではいません。一覧で見えるのは、タイトル・給与・勤務地・写真1枚目くらい。そこで「開くか、飛ばすか」が決まり、開いたあとも最初の数行で「読み続けるか、戻るか」が決まる。差別化とは、この「並び」の中で、うちだけが違うと一瞬で分かる何かがある状態のことです。本文の後ろのほうに良いことが書いてあっても、並びで飛ばされたら届きません。
もうひとつ。詳しく書くことは、応募を増やすためだけではありません。厚生労働省の「令和5年 若年者雇用実態調査」で、若年正社員を定着させるために事業所が実施している対策の上位は「職場での意思疎通の向上」59.7%、「採用前の詳細な説明・情報提供」58.4%でした(複数回答。出典:厚生労働省 令和5年 若年者雇用実態調査)。入る前に詳しく説明することは、国の調査でも定着策の上位に入っています。求人票で「うちだけの事実」を書くことは、差別化であると同時に、入社後のミスマッチを減らす最初の一手でもあるわけです。
差別化が失敗する、3つの決めつけ
手順に入る前に、よく見る「差別化したつもり」を3つ挙げておきます。どれか1つでも当てはまったら、そこが直しどころです。
1. 大手と同じ言葉で戦っている
「成長できる環境」「安定した経営基盤」「アットホームな職場」「未経験歓迎」「やりがいのある仕事」。これらは、大手も中小も、同じ一覧の中のほぼ全社が書いています。全員が書いている言葉は、求職者にとって判断材料にならない。読み飛ばされる背景の一部になるだけです。しかも「安定」「福利厚生」「研修制度」のような言葉で並ぶと、規模の大きい会社のほうが具体的な制度名を出せるので、同じ土俵に乗った時点で分が悪い。
2. 数字で負けているところを隠している
給与の下限が並びより低い、年間休日が少ない、残業がある。こういう「負けている数字」を求人票から消したり、「当社規定」「応相談」でぼかしたりする。気持ちは分かりますが、求職者は並べて見ているので、書いていないこと自体が「他より悪いんだろう」というサインになります。しかも、隠して採ったあとが問題です。マイナビの「アルバイト就業者調査(2024年)」では、アルバイトを始める際の不安として「募集時に明記されていた条件と実際の労働が合っているか」を30.4%が挙げています(出典:マイナビキャリアリサーチLab アルバイト就業者調査(2024年)PDF)。求職者は「求人票と実際が違う」ことを、最初から警戒して読んでいます。
3. 「うちの魅力」を社内だけで考えている
社長と社員で「うちの良いところ」を出し合う。悪いことではないのですが、出てくるのはたいてい「社内の当たり前」で、それが求職者にとって珍しいかどうか、他社が同じことを書いていないかどうかは、並びを見ないと分かりません。差別化は自社の中にあるのではなく、「自社と並びの差」にあります。だから、まず並びを見る。
30分でできる「並びの棚卸し」
やることは3つです。求職者と同じ検索をして、上から5本を表に写して、3色に分ける。紙とペン、またはスマホのメモで十分です。
手順1:求職者と同じ検索を、スマホでする
自分の求人が載っている媒体(Indeed、求人ボックス、地域の求人サイト、ハローワークなど)を、スマホで、求職者が打ちそうな言葉で検索します。「製造 ◯◯市」「事務 パート ◯◯駅」「配管工 ◯◯県」のように、職種名と地域の組み合わせ。会社名では検索しません(求職者は会社名を知らないからです)。パソコンではなくスマホで見るのは、求職者の多くがそうしているからで、一覧での見え方(タイトルが何文字で切れるか、写真がどう出るか)がパソコンと違います。
この画面で、自分の求人が何番目に出るか、そして上から5本に何が並んでいるかを見ます。自分の求人が上位にいなければ、スクロールして自分の求人の前後を見てください。求職者が「うちの求人の直前と直後に見る求人」が、いちばん直接の比較相手です。
手順2:上から5本を、7項目の表に写す
並んでいる5本(自分の求人を含めて6本)を、次の7項目で表に写します。1本あたり3〜4分、30分もあれば埋まります。
※記入例(架空。金額・数字は記入例です)
7項目= ①タイトル ②最初の3行に書いてあること ③給与(下限〜上限) ④休日 ⑤仕事内容に「1日の流れ」があるか ⑥写真(枚数・中身) ⑦応募後の流れ
A社:①製造スタッフ(未経験歓迎) ②アットホーム/未経験歓迎/安定 ③月給20万〜28万 ④週休2日 ⑤なし(「製造業務全般」) ⑥3枚・工場の外観と機械 ⑦なし
B社:①金属加工オペレーター ②創業50年/安定/福利厚生充実 ③月給22万〜30万 ④年間休日115日 ⑤なし ⑥1枚・ロゴ ⑦なし
C社:①製造スタッフ/正社員 ②未経験歓迎/研修あり/土日休み ③月給19万〜 ④土日休み ⑤なし ⑥0枚 ⑦なし
D社:①【急募】製造・組立 ②大手グループ/賞与年2回/寮あり ③月給23万〜32万 ④年間休日120日 ⑤なし ⑥5枚・きれいなオフィスと集合写真 ⑦「一週間以内に連絡」
E社:①製造スタッフ(工場内作業) ②未経験歓迎/アットホーム/マイカー通勤OK ③月給20万〜26万 ④週休2日 ⑤なし ⑥2枚・工場内 ⑦なし
自社:①製造スタッフ募集 ②アットホーム/未経験歓迎/地域密着 ③月給21万〜27万 ④週休2日(土曜隔週) ⑤なし ⑥1枚・外観 ⑦なし
表にすると、はっきり見えることがあります。「アットホーム」「未経験歓迎」「安定」は6社中5社が書いている。「1日の流れ」は誰も書いていない。「応募後の流れ」もD社以外は誰も書いていない。給与はD社が一段上で、自社は真ん中。休日は自社が「土曜隔週」で、並びの中では少し弱い。——これが、自分の求人が置かれている「並び」の現実です。社内で「うちの魅力」を考えていても、この表は出てきません。
手順3:表を3色に分ける
表が埋まったら、項目ごとに3つに分けます。色ペンで塗るのがいちばん早いです。
A:全員同じ(差にならない)。 6社中4社以上が書いている言葉や項目。上の例なら「アットホーム」「未経験歓迎」「安定」。ここは、書いてあってもなくても並びの中では差がつきません。求人票の冒頭からは外して、後ろに回すか、削る候補です。
B:数字で負けている(隠さず、見せ方で直す)。 給与の下限・上限、休日数、残業、通勤など、並べたときに他社に劣る数字。上の例なら「土曜隔週」。ここは消してはいけません。後で説明する「正直に書いて、上がる条件・実績を添える」で扱います。
C:誰も書いていない(うちの1行の候補)。 並びの誰も書いていない項目。上の例なら「1日の流れ」「教える人」「応募後の流れ」。ここが、差別化の材料になる場所です。書けば、それだけで並びの中で唯一になる。派手なことである必要はまったくなく、他社が書いていないだけで十分です。
差別化の正体は、このCです。Aを盛るのではなく、Bを隠すのでもなく、Cに「うちの事実」を置く。それだけです。
Cを「事実」に落とす——うちだけの1行の見つけ方
Cの項目が見えても、そこに書くのが「風通しがいい」ではまたAに戻ってしまいます。Cに置くのは事実、つまり、名前・数・時間・場所・頻度で書けることです。
社内の「当たり前」を、求職者の質問に置き換える
社内の当たり前は、社内にいると事実だと気づきません。見つけるコツは、求職者が面接で聞きたいけれど聞きにくい質問を、こちらから先に答えることです。たとえば次の8つ。
1. 教える人は誰か。 名前(または年齢・社歴)と、最初の1週間で何をするか。
2. 休みは実際どう取られているか。 去年の年間休日の実績、有給の取り方(前日連絡でよいか)。
3. 残業は実際どれくらいか。 多い月と少ない月。定時で帰る日が週に何日あるか。
4. 直近で入った人は誰か。 何歳で、前は何をしていて、今は何ができるようになったか。
5. 辞めた人は、なぜ辞めたか。 正直に。「体力的に合わなかった」でよい。
6. 社長との距離。 毎日顔を合わせるか、直接言える場があるか。それをきつく感じる人もいる、と両面で。
7. 道具・車・制服・昼ごはん。 支給か自己負担か。社用車で直行直帰か。昼はどこで食べているか。
8. 応募したら、いつ・誰から・どう連絡が来るか。
この8つに答えると、たいてい2〜3個は「並びの誰も書いていない事実」になります。それがうちの1行です。
「盛る」と「事実」の境目
同じことを言うにも、書き方で差になるかどうかが決まります。
※記入例
「風通しのいい職場です」
→ 「毎週金曜の終業前15分、社長と全員で『今週困ったこと』を話す時間があります。ここで出た改善は翌週から反映されます」「未経験でも安心の研修制度」
→ 「最初の2週間は、入社4年目の田中(32歳)が横につきます。1週目は材料の名前と機械の安全確認だけ。加工に入るのは2週目からです」「アットホームな職場です」
→ 「従業員8名。平均年齢38歳。いちばん最近入ったのは去年10月入社の26歳で、前職は飲食のホールでした」
下の書き方は、どれも「盛って」いません。すでにある事実を、数と名前で書いただけです。それでも、上の書き方と並べたとき、求職者が「開く」「読み続ける」のはどちらか。並びの中で唯一になるのは下です。
なお、「人」の事実——年齢構成、教える人、先に入った人のその後——は、中小企業がもっとも差をつけやすい領域です。大手は仕組みで安心を作りますが、人の顔で安心を作れるのは小さな会社のほうです。若手採用に絞ったこの部分の書き方は、別記事「中小企業の若手採用がうまくいかない理由と、大手と戦わない求人の書き方」で詳しく扱っています。
Bを正直に見せる——負けている数字の扱い
Cが決まったら、次はBです。並びより低い給与、少ない休日、ある残業。ここは「隠す」でも「盛る」でもなく、数字はそのまま書いて、その数字の背景と、変わる条件を添えるのが基本です。
給与の下限が並びより低いとき。 下限をぼかすのではなく、「月給21万円〜」と書いたうえで、何ができると、いつ、いくらになるかを段階で書きます。「入社時21万→加工機を1人で扱えるようになった時点で24万(多くの人は6か月〜1年)→2台目で27万」。求職者が知りたいのは今の下限そのものより、「そこからどう上がるか」です。
休日が並びより少ないとき。 「週休2日(土曜隔週)」を隠さず、「土曜出勤は月2回、8:00〜15:00。去年の年間休日の実績は108日。土曜出勤の翌週は平日に代休を取る人が多い」のように、回数・時間・実績で書きます。「年間休日120日」の会社と比べれば負けていますが、「土曜隔週」とだけ書かれた求人と比べれば、こちらのほうが読んだ人は安心します。負けている数字を正直に書いた求人は、並びの中で「この会社は隠さない」という信頼になります。
残業があるとき。 「残業あり」ではなく、「繁忙期(3月・9月)は月20時間前後、それ以外は月5時間以下。19時以降に残っている人はほぼいません」と、多い月と少ない月で書きます。
Bを正直に書くと、その数字で応募を見送る人は出ます。それでいいのです。並びで見て「この条件でいい」と判断して応募してきた人は、面接後・入社後に「聞いていた話と違う」で辞めにくい。Bを隠して増やした応募は、面接の無断キャンセルや早期離職として、あとで戻ってきます。
差を「置く場所」——タイトル、最初の3行、写真の1枚目
Cの事実が決まり、Bの書き方も決まった。最後に、それをどこに置くかです。ここを間違えると、せっかくの1行が本文の後ろに埋もれて、並びの中では見えません。
求職者が「並び」で見ている場所は3つです。タイトル(一覧に出る)、最初の3行(開いた直後に見える)、写真の1枚目(一覧や開いた直後に出る媒体が多い)。うちだけの事実は、この3か所のどれかに置きます。
- タイトルには、職種名と、Cのうち一言で言えるもの。「製造スタッフ(金属加工・未経験から2週間で機械を触れる/◯◯市)」。「未経験歓迎」だけでは並びに埋もれますが、「2週間で機械を触れる」は並びの誰も書いていません。 - 最初の3行には、Aの言葉(アットホーム、未経験歓迎)を置かず、Cの事実を2つ。「教える人」「直近で入った人」「応募後の流れ」のどれかを、名前と数で。 - 写真の1枚目は、外観やロゴではなく、Cの事実が写っているもの。教える人が新人の横に立っている写真、実際の作業場所、昼ごはんを食べている休憩室。並びの表を見れば分かるとおり、外観・ロゴ・集合写真は他社が同じことをしています。
Aの言葉は、削るか、本文の後ろに回します。書いてあって損はしませんが、冒頭の貴重な3行を「全員が書いていること」に使わない、というだけの話です。
Before → After:同じ求人を、並びを見てから書き換える
上の棚卸し表の「自社」の求人を、実際に書き換えてみます(架空・イメージで、金額や時間は記入例です)。
例1:金属加工の製造スタッフ(正社員)
Before
製造スタッフ募集
アットホームな職場で、未経験の方も歓迎!地域密着で安定して働けます。
仕事内容:製造業務全般
給与:月給21万〜27万円
休日:週休2日(土曜隔週)
並びの5社と、冒頭の言葉がほぼ同じ。「製造業務全般」で仕事は見えず、土曜隔週は書いてあるだけで背景がない。
After
製造スタッフ(金属加工・未経験から2週間で機械を触れる/◯◯市・車通勤可)
従業員8名の金属加工の工場です。最初の2週間は、入社4年目の田中(32歳)が横につきます。1週目は材料の名前と安全確認だけ、加工に入るのは2週目から。いちばん最近入ったのは去年10月入社の26歳で、前職は飲食のホールでした。
【1日の流れ】8:00 朝礼・当日の図面確認 → 8:15 加工(先輩と2人で1台) → 12:00 昼休憩(休憩室で弁当、近くにコンビニあり) → 13:00 加工・検査 → 17:00 片付け → 17:15ごろ退勤
【給与】月給21万円〜(入社時)。加工機を1人で扱えるようになった時点で24万円(多くの人は6か月〜1年)、2台目で27万円。
【休日】週休2日。土曜出勤は月2回(8:00〜15:00)。去年の年間休日の実績は108日。土曜出勤の翌週に平日代休を取る人が多いです。
【残業】繁忙期(3月・9月)は月20時間前後、それ以外は月5時間以下。
【応募後】応募の翌営業日までに、社長の◯◯から電話かメールでご連絡します。まずは工場見学だけでも歓迎です。
やったことは、並びの誰も書いていなかった「教える人」「直近の入社者」「1日の流れ」「応募後の流れ」を最初に置き、負けている「土曜隔週」を回数・時間・実績で正直に書き、全員が書いている「アットホーム」「地域密着」を冒頭から外しただけです。新しい制度は1つも作っていません。
例2:税理士事務所の事務スタッフ(パート)
Before
事務スタッフ(パート)募集
未経験歓迎。アットホームな事務所です。扶養内勤務OK。
時給:1,100円〜
勤務:週3日〜、9:00〜16:00
After
税理士事務所の事務パート(伝票入力と電話対応/子どもの急な休みは当日連絡OK・◯◯駅徒歩4分)
所長と職員4名の事務所です。仕事は、お客様から届いた領収書や伝票の入力(会計ソフト・入力の型は先輩が横で教えます)と、電話の取り次ぎ。最初の1か月は、勤続9年の佐藤(パート・お子さん2人)が担当としてつきます。現在のパート3名は全員、子育て中に入社しています。
【シフト】週3日〜、9:00〜16:00の間で相談。学校行事・急な発熱は当日朝の連絡で大丈夫です(昨年、それで困ったことはありません)。
【繁忙期】2〜3月と5月は仕事が増えます。この時期だけ週4日にする人もいますが、無理には頼みません。
【時給】1,100円〜。入力を1人で回せるようになった時点で1,150円(多くの人は3か月前後)。
【応募後】応募の翌営業日までに、所長の◯◯からメールでご連絡します。
「急な休みの扱い」「繁忙期がいつか」「今いるパートがどんな人か」は、事務のパート求人の並びで、ほとんど誰も書いていません。それを書いただけで、並びの中で唯一の求人になります。
やりがちなNG(ひとつでも当てはまったら見直しどき)
並びを見ずに、社内で「うちの魅力」を考えることから始めている。冒頭の3行が「アットホーム」「未経験歓迎」「安定」など、並びの全員が書いている言葉で埋まっている。給与の下限や休日数を、並びより低いからと「当社規定」「応相談」でぼかしている。うちだけの事実(教える人・直近の入社者・応募後の流れ)が、本文の最後のほうに小さく書いてある。写真の1枚目が外観・ロゴ・集合写真。制度や手当を「作ってから」差別化しようとして、求人が半年止まっている。——このあたりは、多くの中小企業の求人で共通して起きている「もったいない」ポイントです。
直すなら、この順番で
一度に全部やろうとすると手が止まるので、順番をつけます。
まず並びの棚卸し(30分)。表を作らないと、何がA・B・Cかは分かりません。次にCの事実を2〜3個、名前と数で書き出す。8つの質問に答えれば出てきます。そのうえでタイトルと最初の3行を書き換える。ここが並びでいちばん見られる場所です。そしてBの数字を、背景と変わる条件つきで正直に書く。最後に写真の1枚目を、Cの事実が写っているものに替える。制度や手当の新設は、この5つをやったあとでいい。多くの場合、それをやらなくても並びの中で唯一になれます。
ひとつ注意してほしいのは、並びは変わる、ということです。3か月もすれば、隣に並ぶ求人は入れ替わります。うちだけだった事実を、隣も書き始めることもある。だから棚卸しは1回で終わりではなく、求人を更新するたび、あるいは3か月に1回、同じ表を作り直すのがおすすめです。30分で済みます。
自分の求人は、どこでつまずいているのか
ここまで読んで、「うちは冒頭がAの言葉ばかりだ」「Bを隠していた」「Cはあるけど後ろに埋もれていた」と、当たりがついた方も多いと思います。ただ、自分の求人は毎日見ているぶん、並びの中でどう見えているかは、かえって客観的に判断しにくいものです。
よくある質問(FAQ)
Q. 大手のような福利厚生や制度がありません。それでも差別化はできますか? A. できます。差別化は制度の有無ではなく、「並びの中で、うちだけが書いている事実があるか」で決まります。教える人の名前、直近で入った人、応募後の流れ、繁忙期がいつか——こうした事実は、制度がなくても書けますし、並びの多くの会社が書いていません。
Q. 給与や休日で他社に負けています。書かないほうがいいですか? A. 書いたほうがいいです。求職者は並べて見ているので、書いていないこと自体が「他より悪い」というサインになります。数字はそのまま書き、「何ができると、いつ、いくらになるか」「去年の実績は何日か」を添えてください。隠して増えた応募は、面接のキャンセルや早期離職として戻ってきやすいです。
Q. 「アットホーム」「未経験歓迎」は書かないほうがいいのですか? A. 書いてあって損はしませんが、冒頭の3行には置かないほうがいいです。並びのほぼ全社が書いている言葉なので差になりません。冒頭は「うちだけの事実」に使い、これらの言葉は本文の後ろに回すか、事実に置き換えてください(例:「アットホーム」→「従業員8名・平均年齢38歳・最近入ったのは26歳」)。
Q. 棚卸しの表は、どの媒体で作ればいいですか? A. 自分の求人を載せている媒体で、求職者と同じように「職種名+地域」で検索して作ってください。複数の媒体に載せているなら、いちばん応募が来てほしい媒体から。パソコンではなくスマホで見ると、一覧での見え方が求職者に近くなります。
Q. 一度差別化したら、そのままでいいですか? A. 並びは3か月もすれば入れ替わりますし、隣の会社が同じ事実を書き始めることもあります。求人を更新するたび、または3か月に1回、同じ表を作り直して、まだ「うちだけ」かを確認するのがおすすめです。
この記事は、中小企業の採用運用を支援する SaishiLu(運営:株式会社プラスメイト)が作成しています。求人原稿・媒体運用の現場でよく見る観点をまとめました。本文中の数値は出典先の公表値であり、記入例の金額・時間・人数はすべて架空です。