Indeedに有料で出そうと決めて、予算の入力画面まで来た。そこで手が止まる。「いくら入れればいいのか」。調べると「月10万〜30万円が相場」と書いてあるページもあれば、「採用人数÷採用率÷応募率×クリック単価」という式を出しているページもある。どちらも間違いではありませんが、初めて出す中小企業の社長が、そのまま使える形にはなっていません。

このとき多いのが、「まわりが月10万と言うなら10万」と相場に合わせるか、「まず3万だけ」と根拠なく小さく置くか、のどちらかです。相場に合わせると、自分の職種・地域では余る(か足りない)。根拠なく小さく置くと、応募がゼロのまま終わって「Indeedは効かない」という結論だけが残る。どちらも、金額そのものより「何のためにその額を置いたか」が決まっていないことが原因です。

実は、Indeedの予算は一度に決めるものではありません。最初の2週間は「自分の数字を測るための予算」、そのあとが「採るための予算」。この2段に分けると、相場も式も、初めて自分のものとして使えるようになります。この記事では、Indeedの予算の仕組み(上限・日額と月額・請求のタイミング)を先に押さえたうえで、2段で決める手順、予算が消化されないとき/消化されるのに応募が来ないときの直し方、そして止め時までを、記入例つきで説明します。金額はすべて架空の記入例です。

先に押さえる:Indeedの予算は「上限」で、超えない

予算の話を始める前に、仕組みを確認しておきます。ここを知らないまま金額を置くと、「勝手に使われるのでは」という不安で小さく置きすぎるか、逆に「いくらでも使えてしまう」と誤解して手を止めるか、のどちらかになります。

Indeedの有料オプション(スポンサー求人)はクリック課金で、求職者に求人がクリックされたときだけ料金が発生し、金額は予算に応じて自分で設定・調整できる、と案内されています(出典:Indeed(インディード)の利用料金はいくら?)。予算は「平均日額」と「月額」の2つの決め方から選べ、掲載の終了日も設定でき、有料をやめたいときは「予算を削除する」で無料掲載に戻せます。そして「クリック課金型のモデルとなっているため、設定した予算上限を超えて課金されることもありません」と明記されています(出典:Indeed 予算設定・解除方法)。請求は、クリック金額が10万円に到達するごとに発生する、という案内もあります(出典:Indeed 料金・有料オプションでの掲載について)。

つまり、予算とは「これだけ使います」という約束ではなく、「ここまでしか使わない」という天井です。天井を置いたうえで、クリックが少なければ天井まで届かずに終わるし、天井に届けばそこで止まる。この理解があると、最初の額を「試しに置く」ことが怖くなくなります。

もうひとつ。管理画面の設定に「自動調節」があり、これを使うと1日または1か月の予算に合わせてクリック単価が自動で調整されます(出典:同上)。クリック単価を自分で細かく触るのは、慣れてからで十分です。最初は自動調節で構いません。

「いくら」の前に:なぜ相場も式も、そのままでは使えないか

相場(月10万〜30万円)は、他社の話

運用会社の解説では、有料の月額予算のボリュームゾーンは「月10万〜30万円」で、クリック単価の目安は職種によって100円台から1,000円まで幅がある、とされています(出典:スリーカウント Indeedの掲載料はいくら?。運用会社の取扱実績をもとにした目安で、時期・地域で変わります)。参考にはなりますが、これは「Indeedに有料で出している会社の多くがその帯にいる」という話であって、あなたの職種・地域・求人票で「いくら要るか」を教えてはくれません。

同じ「介護職員」でも、都市部と郊外でクリック単価は変わりますし、同じ地域でも求人票の職種名が検索語と合っていなければ、そもそもクリックが付かず予算は消化されません。相場は「桁を間違えないための物差し」として使い、「うちの額」はうちの数字で決める。この順番です。

逆算の式は、自分の数字が無いと動かない

もうひとつよく紹介されるのが、逆算の式です。必要な応募数=採用人数÷採用率、必要なクリック数=必要な応募数÷応募率、必要な予算=必要なクリック数×クリック単価(出典:みんなの採用部 Indeedの予算設定に迷ったら)。式としては正しく、あとで使います。

ただし、この式には「採用率」「応募率」「クリック単価」の3つの数字を入れる必要があります。初めて出す会社は、この3つのどれも持っていません。業界の目安(応募率は1.0%前後が目安、など。出典:ノーザンライツ NL+)を入れて計算することはできますが、その結果は「業界平均の会社が採るならいくら」であって、あなたの会社の数字ではない。式は、自分の数字が取れてから使うものです。

「予算を増やせば応募が増える」は、順番が逆

三つ目の決めつけがこれです。予算を増やすと増えるのは、表示される機会とクリックです。クリックが増えても、求人票を読んで応募する人の割合(応募率)が低いままなら、増えるのは費用だけです。応募率が上がる材料は予算の中にはなく、求人票の中にしかありません。だから予算を触るのは、原稿を直したあとです。この順番は、あとの「消化されるのに応募が来ない」の章でもう一度出てきます。

予算は2段で決める:「測る予算」と「採る予算」

1段目:測る予算(最初の2週間)

最初の2週間の予算の目的は、採用ではなく自分の数字を3つ取ることです。①自分の求人のクリック単価はいくらか、②その単価で1日に何クリック付くか、③クリックした人のうち何人が応募するか(応募率)。この3つが取れると、2段目で逆算の式が使えるようになります。

額の決め方は、「この募集に、結果が出なくても痛くない額」を1日単位で決めます。相場から出すのではなく、自分の財布から出す。1日1,000円なら2週間で14,000円、1日3,000円なら42,000円。ここで大事なのは「日額で置く」ことです。月額で置くと、クリックの付き方によっては月の前半で使い切ってしまい、2週間分の「平均的な数字」が取れません。平均日額は毎日の上限を指定するので、消化が平らになり、数字を測るのに向いています。

設定はこうします。

測る予算の設定(※記入例)
予算の種類:平均日額 2,000円
終了日:開始から14日後(管理画面のカレンダーで設定)
クリック単価:自動調節
見る数字:表示回数/クリック数/応募数(週1回、同じ曜日に管理画面から写す)

終了日を先に入れておくのは、「気づいたら1か月半走っていた」を防ぐためです。終了日が来たら止まる。そのうえで数字を見て、続けるか、直すか、やめるかを自分で決める。

2週間経ったら、応募率を出します。Indeedの管理画面(アナリティクス)では、応募率は「応募数÷クリック数」と定義されています(出典:Indeedアナリティクスとは?用語と使い方)。合わせて、使った金額÷クリック数で「自分のクリック単価」、使った金額÷応募数で「自分の応募単価」も出しておきます。この3つが、あなたの会社の最初の数字です。

2段目:採る予算(自分の数字から逆算する)

自分の数字が取れたら、ここで初めて逆算の式を使います。記入例で流れを見ます。

測る2週間の結果(※記入例・すべて架空)
使った金額:26,000円(日額2,000円×13日分消化)
クリック数:130回 → 自分のクリック単価 200円
応募数:2件 → 応募率 約1.5%、応募単価 13,000円

採る予算の逆算
採りたい人数:1名
面接まで進んだのは2件中1件、採用には至らず → 1名採るのに応募3〜4件は要りそう
必要なクリック:応募4件÷応募率1.5% ≒ 270クリック
必要な予算:270クリック×200円 ≒ 54,000円
→ 月額 60,000円を上限に置き、1か月続ける

ここでのポイントは2つあります。ひとつは、「採用率」を業界目安ではなく、測る2週間で実際に起きたこと(応募2件のうち面接に来たのが1件、など)から置くこと。数字が小さいうちは荒い見積もりで構いません。もうひとつは、2段目では「月額」に切り替えてよい、ということです。月額は月の中で求職者の動きに合わせて配分される代わりに、日々の見通しは立ちにくい(出典:トルー Indeedスポンサー求人 掲載予算の決め方と設定方法)。数字を測る段は日額、採る段は月額、と使い分けると、両方の長所を取れます。

なお、Indeedの解説ページには、採用予算40万円で始めた雑貨店のクリック単価が想定約250円から実績約180円になった例など、いくつかの事例が載っています(出典:Indeed 利用料金はいくら?)。他社の事例で見るべきは金額ではなく、「想定と実績はずれる」という点です。だから先に測る。

予算が「消化されない」「消化されるのに応募ゼロ」——止まり方は2つある

2週間走らせて数字を見たとき、うまくいかないパターンは大きく2つに分かれます。どちらかで、直す場所がまったく違います。ここを分けずに「予算を増やす」に走るのが、いちばんもったいない失敗です。

消化されない:クリックが付かない

日額2,000円を置いたのに、1日に数百円しか使われていない。これは、求人が表示されていないか、表示されてもクリックされていない状態です。予算の問題ではなく、検索語と職種名が合っていないことが原因のほとんどです。求職者は「ホールスタッフ ◯◯市」「配送 ドライバー」のように検索します。職種名が「スタッフ募集」「オープニングメンバー」のままだと、予算をいくら積んでも検索語に当たらず、クリックが付きません。

直す順番は、①職種名を求職者の検索語に寄せる、②勤務地を市区町村まで書く、③それでもクリックが付かなければ、クリック単価の上限を自動調節で少し上げる、です。①②は無料のまま直せます。Indeedの管理画面には「採用市場レポート」があり、前月分の「求人情報のクリックにつながった人気のキーワードランキング上位10位」や、職種×地域の採用難易度スコアが確認できます(出典:Indeed 採用市場レポート機能の使い方)。職種名を決めるとき、ここに出ている言葉を1つ入れておくと、検索語とのずれが減ります。

消化されるのに応募が来ない:原稿の問題

日額いっぱいまで使われ、クリックは付いている。なのに応募が来ない。これは、求人票を開いた人が読んで「やめておこう」と閉じている状態で、予算では直りません。ここで予算を増やすと、同じ求人票を読んで同じ理由で閉じる人が増えるだけです。

直す場所は原稿です。仕事内容が1日の流れで書かれているか、給与が金額の幅で出ているか(「当社規定」になっていないか)、応募フォームで聞きすぎていないか、応募後にいつ連絡するかが書いてあるか。Indeedの解説でも、表示回数が少ないときは予算やキーワード、クリックはあるのに応募が少ないときは給与・魅力の見せ方・フォームの簡潔化、と直す場所が分けられています(出典:効果的な採用活動を行うために見ておきたい、3つの指標と運用方法)。原稿を直してから、もう一度2週間測る。予算を足すのは、そのあとです。

使い切りの考え方:止め時と、続け時

「予算を使い切る」という言い方をよく聞きますが、目的は使い切ることではなく、採ることです。予算の上限に届く前に採用が決まれば、そこで止めるのが正解で、余った額は「無駄にした」ではなく「使わずに済んだ」です。止め時を先に決めておきます。

採用が決まったら、その日に止める。 終了日を待たず、管理画面で予算を削除して無料掲載に戻すか、掲載を終了します。止め忘れると、クリックのたびに費用が出続けるうえ、応募してきた人に「もう決まりました」と断る手間と気まずさが増えます。

月の途中で上限に届いたら、足す前に数字を見る。 上限に届いたということは、クリックが付いているということです。そのときの応募数が「採る予算」の逆算どおりに来ていれば、来月分を同じ額で置き直す。応募が逆算より少なければ、原稿に戻る。ここで「足りなかったから増やす」と反射で決めない。

応募は来ているのに採れない、は予算の問題ではない。 応募が逆算どおり来ていて採用に至らないなら、詰まっているのは面接の歩留まり(返信の速さ・面接日程の組みやすさ・面接での条件のずれ)で、これは管理画面の外にあります。予算を足しても、同じ歩留まりで落ちるだけです。

これらを、1枚のメモにしておくと迷いません。

Indeed 予算メモ(※記入例)
募集:ホールスタッフ(◯◯市)
測る期間:9/16〜9/29 平均日額 2,000円 終了日 9/29
見る数字:表示回数/クリック/応募(毎週火曜に写す)
測ったあとの判断:
・クリックが1日5回未満 → 職種名・勤務地を直す(予算は触らない)
・クリックはあるが応募0 → 原稿を直して、もう2週間測る
・応募が来た → 応募率と応募単価を出し、採る予算を月額で置く
止める条件:採用が決まった日/応募が逆算より少ないまま上限に届いた月

このメモがあると、「いくら入れるか」の悩みが「今どの段にいるか」の確認に変わります。金額は段ごとに自分の数字から出るので、相場を探しに行く必要がなくなります。

やりがちなNG(ひとつでも当てはまったら見直しどき)

相場の「月10万」をそのまま入れて、1か月後に「効かなかった」と結論を出す。式に業界目安を入れて計算し、自分の数字を一度も取らない。最初から月額で置いて、月の前半で使い切り、後半は表示されない。終了日を設定せず、気づいたら2か月走っている。クリックが付かないのに予算を増やす(職種名を直していない)。クリックは付くのに応募が来ない状態で予算を増やす(原稿を直していない)。採用が決まったのに掲載を止めていない。——どれも、予算の「額」ではなく「段」を決めていないと起きることです。

自分の求人は、どこでつまずくのか

ここまで読んで、「うちは職種名かもしれない」「クリックはあるから原稿だな」と当たりがついてきた方も多いと思います。予算の話は、結局のところ「求人票のどこが詰まっているか」を数字で見つける話でもあります。ただ、自分の求人は毎日見ているぶん、詰まりどころは自分ではなかなか見えません。

よくある質問(FAQ)

Q. Indeedの予算は、結局いくらから始めればいいですか? A. 「相場」ではなく、「結果が出なくても痛くない額」を日額で決めて、2週間だけ走らせてください。目的は採用ではなく、自分のクリック単価・クリック数・応募率を取ることです。その数字から、次の月の予算を逆算します。

Q. 予算を置いたら、その額は使い切られてしまいますか? A. いいえ。Indeedの予算は上限で、設定した上限を超えて課金されることはないと案内されています。クリックが少なければ上限まで届かずに終わります。逆に、上限に届いた場合はそこで止まります。

Q. 平均日額と月額、どちらで設定すべきですか? A. 最初の「測る2週間」は平均日額がおすすめです。消化が平らになり、平均的な数字が取れます。自分の数字が取れて「採る予算」に移ったら、月額に切り替えても構いません。

Q. 予算を増やせば応募は増えますか? A. 増えるのはクリックまでで、応募が増えるかどうかは求人票の中身で決まります。クリックが付いているのに応募が来ない状態で予算を増やしても、費用だけが増えることが多いです。先に原稿を直してください。

Q. 採用が決まったら、掲載はどうすればいいですか? A. その日に止めてください。管理画面で予算を削除すれば無料掲載に戻せますし、掲載自体を終了することもできます。止め忘れると、クリックのたびに費用が出続けます。

この記事は、中小企業の採用運用を支援する SaishiLu(運営:株式会社プラスメイト)が作成しています。求人原稿・媒体運用の現場でよく見る観点をまとめました。本文中の数値は出典先の公表値であり、記入例の金額・件数・日数はすべて架空です。Indeedの仕様は変更されることがあるため、設定の詳細は採用企業向けヘルプでご確認ください。