求人はクリックされても、応募まで届かず取りこぼしている(採用ファネルのイメージ)
求人はクリックされても、応募まで届かず取りこぼしている(採用ファネルのイメージ)

Indeedや求人ボックスの管理画面を開いて、「表示回数もそこそこある、クリックもされている。なのに応募だけが、ぱたっと来ない」。採用を自分でやっている経営者の方から、いちばんよく聞く悩みがこれです。

このとき最初にやってしまいがちなのが、「やっぱり給料が安いんだろう」と決めつけて、時給や月給をいきなり上げてしまうこと。もちろん相場から大きく外れていれば別ですが、多くの場合、原因は給与の“額そのもの”ではありません。クリックが付いているというのは、求職者の目には確かに留まっているということです。入り口の「表示」は最低限クリアできていて、詰まっているのはそのもっと手前、求人を読んでから応募ボタンを押すまでの間にあります。

そして、ここで取りこぼしている人は、給料を上げなくても取り戻せることが多い。この記事では、「クリックはあるのに応募が来ない」状態を、どこで詰まっているかを切り分けて、原稿・給与・応募導線のどこを、どう直せばいいかを、実際の書き換え例まで含めて説明します。特別なテクニックの話ではなく、今日、自分の求人を開いて直せる話です。

まず、「どこで止まっているか」を切り分ける

「応募が来ない」とひとことで言っても、実は詰まっている場所は人によって違います。ここを分けずに闇雲に直すと、効かないところばかりいじって疲れてしまう。だから最初に、求職者が求人にたどり着いてから応募し終えるまでの流れを、3つの段に分けて考えます。

ひとつ目が、検索結果に表示される段。ふたつ目が、表示された求人をクリックして開く段。そして三つ目が、開いた求人を読んで応募を完了する段です。さらにこの三つ目は、「応募しようとボタンを押す(応募開始)」と「入力フォームを最後まで埋めて送る(応募完了)」の2つに分かれます。

求人媒体の運用会社が公開している目安では、Indeedのクリック率はおおむね「4〜5%が適正」、そこから先の応募開始率が「2〜3%」、応募を始めた人が最後まで送信し切る応募完了率が「33%程度」、最終的に表示に対する応募率の平均が「1.0%」とされています(出典:ノーザンライツ NL+)。あくまで業界全体のざっくりした目安で、業種や地域、募集職種によって上下します。それでも、この順番で自分の管理画面の数字を並べてみると、自分の求人がどの段でいちばん人を落としているかの見当がつきます。

「クリックはされるのに応募が来ない」というのは、表示とクリックまでは足りていて、その先で落としている状態です。ここでさらに切り分けると、原因はだいたい次の2つのどちらかに絞れます。

ひとつは、クリックはあるのに応募開始が少ないパターン。求人を開いて中身を読んだうえで、「うーん、やめておこう」と思われている状態です。これは原稿と給与の見せ方の問題。もうひとつは、応募開始はあるのに、応募完了までいかないパターン。応募しようとしたのに、入力の途中で離脱してしまっている状態で、これは応募フォーム=導線の問題です。応募完了率の目安が33%程度ということは、裏を返せば、応募を始めた3人のうち2人は最後まで進まずに離脱している、ということでもあります。ここは意外と見落とされがちな取りこぼしどころです。

管理画面を見るときは、「クリック率は目安の4〜5%に届いているか」「応募開始率は2〜3%あるか」「応募完了率は極端に低くないか」を、上から順に見てください。クリック率が低ければそもそも原稿タイトルや職種名の問題(表示・クリックの段)、クリックはあるのに応募開始が低ければ本文と給与、応募開始はあるのに完了が低ければフォーム、というふうに、詰まっている段によって直す場所が変わります。

以下では、この記事の本題である「クリックはあるのに応募が来ない」=応募開始と応募完了の2か所を、現場でよく見る詰まり方に沿って具体的に見ていきます。

応募開始でつまずくとき:原稿と給与を見直す

クリックして開いてくれたのに、応募ボタンまで指が動かない。ここでの敵は「情報が足りないこと」と「自分ごとにできないこと」の2つです。求職者は、読んで「自分がここで働く姿」が思い浮かばないと応募しません。順番に見ていきます。

中小企業の現場で、先輩が新しく入ったスタッフに仕事を教えている様子。求人に「1日の流れ」を書くと、この安心感が伝わる
中小企業の現場で、先輩が新しく入ったスタッフに仕事を教えている様子。求人に「1日の流れ」を書くと、この安心感が伝わる

職種名が、ぼんやりしている

まず職種名。「スタッフ募集」「アルバイト募集」「作業員募集」——これだと、そもそも何の仕事かが伝わりません。実は職種名は、検索でどう表示されるか(クリックの段)にも効くのですが、開いたあとの「自分向けかどうか」の第一印象も左右します。

直し方はシンプルで、「何を・どこで・誰歓迎か」を職種名に足すこと。「スタッフ募集」なら「居酒屋のホールスタッフ(未経験歓迎・週2日〜/◯◯駅徒歩5分)」、「作業員募集」なら「空調設備の取付スタッフ(未経験OK・◯◯市/直行直帰あり)」。長くなりすぎない範囲で、仕事の中身と、働く場所と、歓迎する人を入れる。これだけで「あ、自分のことだ」と思ってもらいやすくなります。

仕事内容が「1日の流れ」で見えない

いちばん多い詰まりどころがこれです。仕事内容の欄が「未経験歓迎!アットホームな職場です」「現場作業全般をお任せします」で終わっていて、朝どこに集合して、何をして、何時に終わるのかが書いていない。求職者、とくに未経験の人ほど、「自分がその日一日をどう過ごすか」を想像できないと、不安で応募ボタンを押せません。

ここは「1日の流れ」を時系列で書くのが効きます。たとえば設備の取付なら、「8:30 会社で資材を積み込み → 午前 先輩と2人で現場に入って取付 → 12:00 休憩 → 午後 別の現場へ → 17:30ごろ終業」。飲食のホールなら、「17:00 出勤・仕込みの手伝い → 18:00 開店・ご案内とドリンク → 22:00 ラストオーダー後に片付け → 23:00 退勤」。介護なら早番・遅番でどう違うか。実際の一日が見えるだけで、「これならできそう」と思ってもらえます。

特に従業員が10名に満たないような小さな会社ほど、「うちの仕事は現場ごとに違うから説明しづらい」と一行で済ませてしまいがちですが、そこはむしろ逆に考えたいところです。小さい会社こそ、「誰と・どんな現場で・どんな一日を過ごすか」を具体的に書くと、大手求人にはない“顔の見える安心感”になって、それ自体が武器になります。

給与が「当社規定」で、いくらか分からない

「給与:当社規定」「経験・能力を考慮の上、決定」。この書き方をした瞬間、求職者からは「いくらもらえるか分からない求人」に見えます。そして人は、金額の分からないものには応募しません。応募してから聞けばいい、とはなかなか思ってもらえないのです。

大事なのは、必ずしも高い金額を出すことではなく、幅(レンジ)で正直に見せることです。「月給25万〜32万円(経験による)」のように、下限と上限、そして何で金額が決まるのかを書く。さらにできれば、皆勤手当・資格手当・家族手当といった各種手当や、「入社3年でモデル年収◯◯万円」といった目安まで書けると、求職者は自分の将来の姿を計算できます。ここまで書いてある求人は、同じ職種の中でも一段信頼されます。逆に、金額を隠している求人は、それだけで候補から外されていると考えたほうがいいです。

求める条件を、盛りすぎている

もうひとつ、応募開始を静かに減らしているのが「必須条件の盛りすぎ」です。あれもこれもと「必須」に入れてしまうと、本当は活躍してくれたはずの人が「自分は当てはまらない」と応募を諦めてしまいます。「普通自動車免許(AT可)」で足りるところを「要普通免許・実務経験3年以上・◯◯資格必須」と全部必須にしていないか。本当に外せない条件だけを「必須」に置いて、あとは「歓迎」に回す。これだけで応募のすそ野が広がります。

写真とスマホでの見え方

求職者の多くは、スマートフォンで求人を見ています。パソコンできれいに整えた原稿が、スマホだと改行が詰まって読みにくい、ということは珍しくありません。長い一文はこまめに改行する、ひとかたまりを短くする、といった配慮だけでも読みやすさが変わります。写真も、暗い一枚だけよりは、実際に働く現場やスタッフの様子が伝わる明るい写真が数枚あるほうが、安心感につながります。凝ったものでなくていいので、スマホで撮った“ふつうの現場”の写真で十分です。

応募完了でつまずくとき:応募導線を軽くする

原稿と給与を直して「応募しよう」と思ってもらえても、その次で取りこぼすことがあります。応募を始めたのに、最後まで送り切れない。応募完了率の目安が33%程度、というのは、ここでかなりの人が離脱しているということです。

スマートフォンで求人情報を見て、応募しようとしている求職者。応募フォームが長いと、この一歩でやめられてしまう
スマートフォンで求人情報を見て、応募しようとしている求職者。応募フォームが長いと、この一歩でやめられてしまう

応募フォームの項目が多すぎる

いちばんの原因は、入力項目の多さです。志望動機を長文で書かせる、履歴書の内容をぜんぶ手入力させる、といったフォームは、スマホでポチポチ入力している求職者にとってかなりの負担で、途中で「もういいや」と閉じられてしまいます。最初の応募の段階では、名前と連絡先など、こちらから折り返すのに最低限必要な情報だけを聞くようにして、詳しいことは応募後のやり取りで確認する、という順番にするのがおすすめです。Indeedであれば「カンタン応募」を使うと、履歴書なしで名前やメールなど数項目だけで応募できるように設定できます(Indeed公式)。入り口で聞きすぎないことが、応募完了率を上げる一番の近道です。

応募したあと、どうなるかが書いていない

意外と効くのに、多くの求人で抜けているのが、「応募したあと、いつ・どうやって連絡が来るのか」の一行です。求職者は、応募したあと音沙汰がないのがいちばん不安で、その不安があると最初の一歩をためらいます。「ご応募後、2営業日以内に担当の◯◯からお電話またはメールでご連絡します。まずは見学だけでも歓迎です」——こう書いてあるだけで、「ちゃんと反応してくれそうだ」という安心感が生まれ、応募のハードルが下がります。そして書いたからには、実際にそのスピードで連絡することが大切です。応募者への初動が速い会社は、他社に決まる前に会える確率が上がります。

Before → After:同じ求人を、書き換えるとこう変わる

言葉だけだと分かりにくいので、よくある求人を2つ、実際に書き換えてみます(いずれも架空・イメージで、金額や時間は記入例です)。

例1:設備工事の会社

Before

【募集】スタッフ募集
仕事内容:現場作業全般
給与:当社規定
未経験歓迎!アットホームな職場です。お気軽にご応募ください。

クリックはされても、これでは「何の仕事か・いくらか・自分にできそうか」が何ひとつ分かりません。

After

空調設備の取付スタッフ(未経験OK/◯◯市・直行直帰あり)

オフィスや店舗のエアコンを、先輩とチームで取り付けていく仕事です。難しい判断は先輩がやるので、最初は運搬や補助から覚えていけます。

【1日の流れ】8:30 会社で資材の積み込み → 午前 先輩と2人で現場へ、取付作業 → 12:00 昼休憩 → 午後 別の現場へ → 17:30ごろ終業・直帰OK
【給与】月給25万〜32万円(経験による)+各種手当(資格手当・皆勤手当)。賞与年2回。
【応募後】ご応募から2営業日以内に担当よりお電話します。まずは現場見学だけでも歓迎です。

やっていることは、「職種名を具体的に」「1日の流れを足す」「給与を幅で出す」「応募後の連絡を書く」の4つだけ。特別なコピーライティングは使っていません。

例2:飲食店のホール

Before

ホールスタッフ募集!明るい方歓迎。詳細は面接にて。

After

居酒屋のホールスタッフ(未経験・学生歓迎/週2日・1日4時間〜)

ご案内、注文とり、ドリンク作り、片付けが中心です。最初は先輩が横についてくれるので、飲食が初めてでも大丈夫です。

【シフト例】17:00 出勤・簡単な仕込み → 18:00 開店・接客 → 22:00 L.O.後に片付け → 23:00 退勤(早上がりも相談可)
【時給】1,100円〜(深夜手当あり)。まかない1食無料。
【応募後】応募の翌日までにお店から連絡します。面接は履歴書なしでOK、まずは気軽に。

どちらも、新しい事実を作ったわけではありません。すでにある事実を、求職者が知りたい順に並べ直しただけです。それだけで、応募開始のハードルはぐっと下がります。

直すなら、この順番で

一度に全部やろうとすると手が止まるので、順番をつけます。まずは原稿(職種名と1日の流れ)。ここがいちばん応募開始に効きます。次に給与の見せ方。「当社規定」をやめてレンジにするだけでも変わります。そのうえで応募フォームと応募後の連絡を整える。表示やクリックがそもそも少ない場合は、その前の段(職種名のキーワードや掲載の鮮度)から見直す必要がありますが、「クリックはあるのに応募が来ない」なら、この原稿→給与→導線の順で十分に手応えが出るはずです。

ひとつ注意してほしいのは、直してすぐに応募が増えるとは限らない、ということです。表示のされ方が変わるまでに時間がかかることもあります。ただ、原稿・給与・導線の詰まりは、求職者が離脱する直接の原因なので、直す価値がとても高いところであることは間違いありません。焦らず、数字を見ながら一つずつ直していくのが結局は近道です。

やりがちなNG(ひとつでも当てはまったら見直しどき)

「スタッフ募集」など職種名がぼんやりしている。仕事内容が「アットホーム」「風通しの良い職場」といった雰囲気の言葉だけで、具体的な作業が書いていない。給与が「当社規定」。必須条件を盛りすぎて間口が狭い。応募フォームで志望動機の長文を求めている。応募後にいつ連絡するかが書いていない。写真がない、または暗い一枚だけ。——このあたりは、多くの求人で共通して起きている“もったいない”ポイントです。

自分の求人は、どこで詰まっているのか

ここまで読んで、「たぶんうちは原稿だな」「いや、フォームかもしれない」と当たりがついてきた方も多いと思います。ただ、自分の求人は毎日見ているぶん、かえって客観的に弱点を見つけにくいものです。

よくある質問(FAQ)

Q. クリックはあるのに応募が来ません。まず給料を上げるべきですか? A. 相場から大きく外れていないなら、金額より先に「見せ方」を疑ってください。仕事内容が1日の流れで書かれているか、給与が金額の幅で出ているか、応募フォームが長すぎないか。ここを直すと、金額を変えずに応募が動くことは珍しくありません。

Q. 求人を直したら、すぐに応募は増えますか? A. 「必ずすぐ増える」とは言えません。表示のされ方が変わるまで時間がかかることもあります。ただ、原稿・給与・導線の詰まりは求職者が離脱する直接の原因なので、直す価値は高いところです。

Q. 応募フォームを短くすると、ミスマッチが増えませんか? A. 最初の応募のハードルは下げて、詳しい条件のすり合わせは応募後の連絡で行う、という順番がおすすめです。入り口で聞きすぎると、そもそも応募が来ず、判断する母数が作れません。

Q. 給与を具体的に書くと、他社と比べられて不利になりませんか? A. 求職者はいずれ必ず比較します。むしろ金額を書いていない求人のほうが「何か隠している」と敬遠されがちです。幅で正直に出し、手当や昇給の見込みまで添えるほうが、結果的に選ばれやすくなります。

Q. 写真は自分のスマホで撮ったものでも大丈夫ですか? A. 大丈夫です。凝ったものより、実際に働く現場やスタッフの様子が伝わる明るい写真のほうが、求職者の安心につながります。

Q. どの数字を見れば、どこが悪いか分かりますか? A. 上から順に、クリック率(目安4〜5%)、応募開始率(目安2〜3%)、応募完了率(目安33%程度)を見ます。クリック率が低ければ職種名や表示、クリックはあるのに応募開始が低ければ原稿と給与、応募開始はあるのに完了が低ければ応募フォーム、というふうに詰まっている段が分かります。

この記事は、中小企業の採用運用を支援する SaishiLu(運営:株式会社プラスメイト)が作成しています。求人原稿・媒体運用の現場でよく見る観点をまとめました。本文中の数値は出典先の業界一般値です。